
京都に古くから伝わる独特の作法…
京都に古くから伝わる独特の作法…”ぶぶ漬け食べなはれ”。
これは長居している客を帰らせたい時に、「ぶぶ漬けいかがどすか?」と問いかけ、婉曲に帰りを促す技である。
”ぶぶ漬け”とは、”お茶漬け”のことだけど、どんなに客が待ってもぶぶ漬けが出てくることはない。
これを間に受けて大人しくまっているヤツは、「無粋な人どすなぁ」と陰でバカにされてしまうという話なのだ。
しかし、こんなことを言われれば意地でも反抗したいのが人情ってもの。
「ぶぶ漬けでも食べていきなはれ」と言われたら、
ハキハキと「大盛りでお願いします!」とか「しじみのミソ汁もいいですか?」ぐらいは自然に口をつくだろう。
だが、そんなチマチマとした受け身な姿勢でよいのだろうか?!
やはり攻撃こそ最大の防御なり!
京都のお宅を訪問するからには、自ら”ぶぶ漬け”を忍ばせて訪問するぐらいの備えと心構えが必要である。
そして敢えて長居を決め込み、「ぶぶ漬けでも食べていきなはれ」と言われたら、
「いえ、手持ちのものがありますから」と、その場でオカ持ちから”ぶぶ漬け”を取り出してムシャムシャと食べ始める。
もちろん、それだけじゃ許さない!!
逆に「ぶぶ漬けいかがどす?」と、こちらから茶碗を差し出してやるのだ!
”必殺ぶぶ漬け返し”!
京の伝統に従って、ぶぶ漬けをすすめられた者は、その場を立ち去らねばならない。
相手は自分の家であるにも関わらず、荷物をまとめてその家を出て行くことになるわけだ。
途方にくれた相手がとりあえずホテルで一泊を過ごそうとしても、先回りしてホテルの前に”ぶぶ漬け”を置いておく。
ドラキュラが十字架を恐れるように、京都人は”ぶぶ漬け”を越えることができない。
仕上げはここからだ。途方に暮れる相手の前にタイミングよく現れて仲直りを持ちかけて温泉へと誘いだす。
そして相手がリラックスして湯につかっているところに、ご飯とお茶っ葉をぶち入れて叫ぶのだ!
「どうだー!おまえが、ぶぶ漬けだー!!!」
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